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課題
解決策
効果
ダイキンでは、中期計画の見直しに合わせて3〜5年に1回のペースで、グローバルのグループ会社幹部が一堂に会し経営課題を議論する「グループ経営会議」を実施しています。
コロナ禍の影響で前回の2018年から期間が空いていましたが、創業100周年のタイミングで再開すべく、2、3年前から計画を温めてきました。
また併せて、20年ぶりに「グループ経営理念」を改定し、グループ経営会議の中で議論する狙いもありました。
「時代の変化と共に、企業に求められることが変わってきています。理念改定の背景には『自社の強みを生かしながら、経済価値だけではなく社会価値も向上させよう』という考えがありました。今回のグループ経営会議は、こういった経営方針について幹部が集まって議論する場でもありました」(並木様)
今回のグループ経営会議では、世界中から集まった幹部(約300名)やスタッフに対し、会議資料の閲覧やZoomの同時通訳などを目的に450台のiPadを配布しました。
グループ経営会議としては初めての試みでしたが、DX化・デジタル化のために戦略的に取り組んだというよりは、すでに日々の業務でペーパーレスやリモート会議が浸透していたため、自然な流れだったと言います。
「会議資料のペーパーレス化については以前から少しずつ取り組んできましたが、コロナ禍の際に一気にリモート化が進みました。それまで経営トップが各地域に赴いていた『地域マネージャーズミーティング』も現地への出張が困難な場合にはリモートで行われました。誰もがリモートに慣れた環境でしたので、今回のグループ経営会議もペーパーレスやWeb会議アプリの活用を推進すべく、ITチームに協力を仰ぎ、iPadの導入に至りました」(岸田様)
iPadを活用したグループ経営会議は、大きなトラブルもなく成功に終わり、「総じてメリットが大きかった」と言います。
特にペーパーレスと多言語対応では顕著な効果がありました。
「以前は事務局のスタッフが300人分の資料を印刷して、スーツケースいっぱいに詰めて運んでいました。持ち上げられないほど重たかったです」(岸田様)
「ひとたび資料に変更があれば、多言語対応のため通訳さんに協力してもらいながら書き直して、夜中まで印刷していました」(並木様)
「コピー機が壊れてしまったこともありましたね」(岸田様)
「会期中にスケジュールの変更がありましたが、即座に反映できました。紙資料の場合、変更は困難です。また従来は日・英・中の多言語対応のために翻訳機を配布していましたが、iPadであれば、Web会議アプリの同時通訳機能も活用しながら、資料の閲覧から録音・文字起こしまで一台で完結できます」(吉岡様)
今回iPadを導入したことで、資料の配布や通訳・翻訳にかかるコストの削減と、会議の準備・運用面での大幅な効率化を実現しています。
初めての試みということもあり、準備は大変だったと言います。
会場となった研修施設には300人が同時に利用できるネットワーク環境がなく、今回からあらたに加わったITチームはグループ経営会議の半年前の12月からネットワーク環境の構築や動作検証を開始しました。
また会議本番中も、万一のトラブルに備えて各部屋に一人ずつスタッフを配置しました。
「今回は生みの苦しみがありましたが、研修施設のネットワーク環境は確立できましたし、ITスタッフにもノウハウが蓄積され導入手順も確立していますので、次回は半分以下のリソース・工数で抑えられると思います」(吉岡様)
端末をiPadに統一することで、同じセキュリティポリシーや設定を適用できることもメリットになります。
「理想は、各自が普段使っている端末を持ち寄って、スムーズに参加できることだと思います。ただ海外から持ち込んだ端末や各社のセキュリティ要件はさまざまで、トラブル対応などを考慮すると現実的には難しいため、iPadを一律で貸し出す形がベストだと判断しました」(岸田様)
「あくまで目的は議論活発な会議ですが、そんな中でもセキュリティの優先度は高かったですね。ペーパーレスと多言語対応、そしてセキュリティ。この3本柱の取り組みの意義は参加者にも理解してもらいました」(並木様)
「資料閲覧と同通機能をiPadで同時に実現する、というアイデアがよかったですね。今回は共有すべき資料が比較的少なかったこともあり、iPadの機能を100%活用できたとはいえませんが、初めての試みとしてはちょうどよかったと思います」(岸田様)
今回ご利用いただいた「Belong One レンタルプラン」は、Belongが東京センチュリー株式会社と提携し提供しているサービスです。
もともとダイキンの国内営業チームと繋がりがあった東京センチュリーの紹介を受けてBelongの存在を知り、規模や細かい対応、費用などの要件を満たしていたため導入を決めました。
半年間の準備期間から会議本番まで、一貫して同じ端末を使えたのは大きなメリットだったと言います。
「会期は4日間ですが、準備も含めてその前からお借りしたい、という事情をお伝えしたうえで、基本的なプランに加えていくつかソリューションを提案いただきました。結果的に会議の半年前からお借りし、余裕を持って動作検証や番号の割り振りなどを行えたのはありがたかったです。この規模でここまでフレキシブルに利用できるサービスは、なかなかないと思います」(並木様)
端末の品質や、利便性についても満足いただけました。
「トップレベルの幹部が集うこともあり、なるべく外観が綺麗な端末を揃えていただきました。またレンタル料金に端末の返送料が含まれていて、会場からラベルを貼るだけで着払いで返却できたのも利便性がよかったです。現地から発払いで送るとなると、手続きが複雑になってしまうので」(吉岡様)
最後に、今回の成功をふまえて今後の展望を伺いました。
「次回以降のテーマによっては 『予習・復習のために端末をホテルに持ち帰りたい』 『資料に直接書き込みたい』といった要望が出てくる可能性があります。また今回は講師を招いて講演してもらう場面があったのですが、今後は会場の外から参加することが当たり前になるかもしれません。セキュリティとの兼ね合いもありますが、これらのことが実現できれば、よりDX化・デジタル化の恩恵を受けた多層的な議論ができると思います」(並木様)
「今回はコロナ禍以降初めての開催ということもあり、対面のコミュニケーションを重視しましたが、準備の段階では『トップの講話だけでも世界に中継したい』といったアイデアもありました」(岸田様)
セキュリティや信頼性を担保しつつiPad活用の幅を広げるなど、今後さらなるDX化・デジタル化に向けた展開が期待されます。