Naoki Tsujimoto

辻本 直樹

CFO

新卒で伊藤忠商事株式会社に入社。繊維・機械・資源等様々な分野において、コーポレートの中でも事業管理や投資の側面支援、経理、リスクマネジメントといったCFOラインの職種に一貫して従事。約8年前の欧州駐在時に一時携わった中古携帯業界に再び従事する形で2024年より現職。

今回は2024年5月にCFOに着任し、財務経理領域やコーポレートIT領域など幅広い領域をカバーしながら、多岐にわたる課題を解決し続けている辻本に、中古スマートフォン市場とBelongのビジネス戦略についてインタビューを実施しました。


1. 中古スマートフォン市場

ーー 中古スマートフォン市場について教えてください

市場全体の2023年の中古スマートフォン販売台数は272.8万台と言われており、5年連続過去最高販売台数を記録しています。新品スマートフォンの流通量は約3,000万台あり、緩やかに減少を続けている一方で全体の販売総額はわずかに上昇しているというデータもあり、一台あたりの単価が増加していることがわかります。
それ以外にも、市場成長を後押しする要因も重なり、中古スマートフォン市場は今後も成長を続けると予測されています。


参考:株式会社MM総研

ーー どのような市場成長の要因があるのでしょうか?

法改正、技術革新の鈍化、「リユース(=中古)」の認知向上の3つが市場成長のドライブになっています。
当時の菅総理から発表された2019年10月の法改正により、通信料と端末代金を分離して表記することが求められ、消費者が今まで見えていなかった端末代金を認識するようになりました。通信側は各社格安プランを提供するようになり選択肢も増えてきましたが、総務省によると通信料や端末代金を高いと感じる方は法改正後の2020年には28.1%、2024年には42.2%と年々増えています。そのため、端末代金も抑えたいという消費者がリユース品を選択するケースが増えてきています。

技術革新が鈍化していることも要因の一つです。以前であればリチウムイオン電池などの技術革新により、新型機種の方が明らかに電池持ちがよくなるなどのメリットもありましたが、近年では既存機種と新型機種の違いが実はあまりわからないという意見も増えています。尚、にこスマのようにバッテリーの最大容量を表示している中古スマートフォン販売サービスもあり、消費者が安心して選ぶことができるという側面もあるかと思います。

「リユース」の認知が向上していることも要因にあげられます。
メルカリやセカンドストリートなどによりリユース品を売り買いする習慣が一般化し、リユース市場が大きく成長しました。リユース市場の成長という大きな流れの影響もプラスに働き、中古のデバイス品を使っても大丈夫、使ってみようという考えが消費者に生まれたことも、市場成長を後押ししています。

ーー 今後予測されいてる中古スマートフォン市場の流通量

2028年度には流通台数438万台になるとの予測があり、市場成長に合わせた緩やかな成長を目指す方針です。
これまでは、積極的な営業活動やマーケティング領域への投資も行い、急速な事業成長を行うための活動を続けてきました。その結果、市場の成長スピード以上の速度でBelongの事業を拡大させることもでき、黒字化も達成したと考えています。

国内ではスマートフォンを使用している方の9%程度が中古スマートフォンを利用している状況ですが、例えば米国では全体に占める中古の割合が20%であり、日本国内も将来的にはこの程度の利用率に上がることが見込まれています。
今後は現在の事業基盤をより強固にしていきながら、さらに成長するための投資も行っていく予定です。


2. Belongの戦略

ーー 現時点のBelongが何を行っているのか(2024年11月現在)

メインとなる中古スマートフォン市場は成長産業と言われていることもあり中古スマートフォンの販売、レンタルでの取引量も安定して、年々販売数と売り上げを伸ばしています。
現在の2〜3倍以上大きくなると言われている中古スマホ市場でどこがトップシェアを取るのかの競争でBelongが勝つための戦略を描いて事業運営を行っています。

一方で、新たな収益源を確保するために、新しいリユース商材として、iPadやイヤホンの買取や販売も開始しており販売数も良いペースで成長し始めています。

その結果、売上高、販売数ともに創業期から比較すると50倍以上、2022年-2023年を比較すると2倍以上の成長を遂げています。市場の成長スピードが105~120%のペースで拡大している状況と比較すると、Belongは創業から5年間、市場の成長スピードより非常に早いスピードで成長を続けていると言えます。

ーー Belongの戦略

国内と海外それぞれ、Belongが大きく成長するために必要なアクションがあると考えています。
国内中古スマートフォン市場が大きく成長する要素として「タンススマホ」と言われる中古スマートフォンがあります。新品スマートフォンを購入した後に自宅に保管してそのままになっている中古スマートフォンです。国内では新品スマホを購入したユーザーの52%が旧端末を「タンススマホ」化させると言われています。毎年約1450万台が「タンススマホ」になっている計算です。
このタンススマホをいかにして市場に持ってくるのか、タンススマホ化させないようにするのかが、Belongが国内でより成長するためのキーだと考えています。

海外市場への展開も進めています。
海外への販売は既に開始しており、海外の各国への販売が可能になる国が増えていき、全世界に販売することが可能になれば、2024年と比較して数十倍の成長を遂げるということも夢ではないと考えています。
特に発展途上国では銀行口座は持っていないけどスマホは持っており、賃金のやり取り等もスマートフォン上で完結するような国も多く、生活必需品として扱われています。
多くの壁を超える必要があると思いますが、伊藤忠商事グループのバックグラウンドを生かしながら成長を続けていけば、全世界を相手に事業展開することは実現可能だと考えています。

3. 最後に

ーー Belongで働くことの面白さ

伊藤忠商事グループであるからこその、ダイナミズムが体験できると考えています。
既にAmazonやメルカリをはじめとした国内外のメジャー企業との協業実績はございますが、今後さらに大きな動きをとっていく予定です。
働き方はベンチャー企業そのものであり、一般的な日本の大手企業には無いスピード感を持って働くことができる一方で、伊藤忠商事からのサポートや資本背景を生かした安定性もあり、この2点を同時に両立している会社は少ないのでは無いかと思います。
大きな仕事をしたい、大きな仕事をする中で自分を高めたいという考え方を持っている方には刺激的な環境を提供できると考えています。

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