ビジネスフォンの仕組みを徹底解説|主装置の役割や配線タイプなど
2022.05.19
オフィスでの業務になくてはならないビジネスフォン。電話番号の共有や内線通話、保留転送など、当たり前のように使っている機能の裏には、どのような仕組みがあるかご存じでしょうか?
本記事では、
- 「ビジネスフォンはどんな仕組み?」
- 「主装置の役割は?」
- 「主装置と専用電話機はどうやってつなぐの?」
と疑問をお持ちの方に向けて、「ビジネスフォンの仕組み」をわかりやすく解説します。
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目次
ビジネスフォンとは
「ビジネスフォン」は、オフィスや店舗などで利用される企業用の電話システムです。
ビジネスフォンのもっとも大きな特徴は、複数の電話機で電話回線を共有できる点です。
一般家庭用電話機では、1つの電話番号が1つの電話機に対応しています。子機が付いている場合がありますが、電話回線は1つなので、親機と子機で同時に外線を利用することはできません。
一方、ビジネスフォンでは、
- 1つの電話番号を複数の電話機で利用する
- 複数の電話番号を1つの電話機で利用する
といったことが可能です。
ビジネスフォンと家庭用電話機の主な違いは次のとおりです。
ビジネスフォン | 家庭用電話機 | |
主装置 | 必要 | 不要 |
発着信 | 最大数百回線 | 1回線 |
取次(保留・転送) | 可能 | 不可 ※ |
内線通話 | 可能 | 不可 ※ |
※子機との間の取次・内線通話は可。子機は通常4台まで。
こちらの記事でビジネスフォンのメリット・デメリットを解説していますので、あわせてご覧ください。
ビジネスフォンとは?メリット・デメリット|家庭電話との違いも – Belong法人向けサービス
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ビジネスフォンの仕組み
ビジネスフォンは「主装置」と「専用電話機」で構成されています。
主装置と専用電話機は、基本的には同一メーカー・同一機種でないと使えないため、必要な台数一式をセットで取り揃える必要があります。
それぞれの役割や仕組みについて詳しく解説します。
主装置
「主装置」は、複数の公衆回線(外線)を収容し、多くの専用電話機(内線)に振り分ける役割を持つ箱型の機器です。
ビジネスフォンの機能のほとんどは主装置が担っています。
主装置には複数のスロット(差し込み口)が用意されており、さまざまな機能を持つ「ユニット」を装着することで、自社に必要な機能や規模にカスタマイズして利用します。
次にユニットについて詳しく解説します。
ユニット
「ユニット」とは、主装置に装着する、さまざまな機能を持つ基板のことです。自社のビジネスフォンの利用ニーズに合わせて必要なユニットを装着して利用します。
主に次の5つのユニットがあります。
- 外線ユニット
- 内線ユニット
- 単独電話機ユニット
- 拡張ユニット
- 電源ユニット
それぞれの役割を解説します。
外線ユニット
「外線ユニット」は、公衆回線(外線)を収容し、社外との発着信を制御する機能を持つユニットです。
外線ユニットは、利用する公衆回線によって、さらに次の3つに分類されます。
- アナログ回線ユニット
- ISDN回線ユニット
- ひかり電話回線ユニット
回線の種類や設定を誤ると外線が利用できないため、注意しましょう。
内線ユニット
「内線ユニット」は、オフィス内の内線を制御する機能を持つユニットです。
ユニットによって、8内線や16内線など制御できる内線の数が決まっており、それを超えると内線が機能しなくなります。
通常、内線ユニットは主装置にあらかじめ実装されています。それを超える台数が必要になった場合には、主装置のスロットに内線ユニットを増設することで対応できます。
ビジネスの拡大などで内線電話の増台を見込む場合には、あらかじめ余裕を持ったユニット設定をオススメします。
単独電話機ユニット
「単独電話機ユニット」は、FAXや家庭用電話機を接続する機能を持つユニットです。
FAXやオフィスの受付用電話をつなぐ際によく使われます。
2台もしくは4台接続できるユニットが基本です。
拡張ユニット
「拡張ユニット」は、基本的なビジネスフォン機能以外に、さまざまな機能を追加するためのユニットです。
例として次の機能を持つ拡張ユニットがあります。
- 自動応答・留守番電話・通話録音機能
- 来客用のドアホン機能
- 外線電話をスマートフォンなどモバイル端末へ転送する機能
このように、拡張ユニットでビジネスフォンにさまざまな機能を追加できますが、その分費用も増えますので、自社のニーズに合った機能を選ぶことが大切です。
電源ユニット
「電源ユニット」は、主装置の各ユニットに電力を供給する機能を持つユニットです。
故障するとビジネスフォンが使えなくなる重要なユニットです。
故障した場合には、電源ユニットの交換が必要ですが、古い製品で部材がない場合には、ビジネスフォン一式の交換が必要になることがあります。
クラス
主装置は、機種によって収容できる外線や内線の数に上限があります。
上限数や呼び方はメーカーによってさまざまです。NTTの場合は「クラス」と呼び、次の3種類があります。
Sクラス | Mクラス | Lクラス | ||
電話機の上限数 | 10台 | 30台 | 80台 | |
電話回線の上限数 | チャンネル(通話)数 | 4チャンネル | 12チャンネル | 24チャンネル |
ISDN回線の場合 | 2回線 | 6回線 | 12回線 | |
アナログ回線の場合 | 4回線 | 12回線 | 24回線 | |
主装置の増設 | 不可 | 不可 | 可 |
上限を増やすには増設や交換が必要になります。将来の増員予定がある場合には余裕を持ったクラスを選ぶのが良いでしょう。
PBXとの違い
主装置とよく似た機器に「PBX」があります。
どちらも基本的には同じ役割を持っていますが、PBXのほうが主装置よりも、より大規模な環境で利用できます。
主装置とPBXの特徴は次のとおりです。
主装置 | PBX | |
主な役割 | 外線と内線・内線同士の接続や切り替え | |
接続可能な機器の数 | 多くても数百台まで | 数千台も可能 |
導入コスト | 安価(数十万円から可) | 高額(最低でも数百万円) |
接続できる周辺機器の種類 | 少ない(専用電話機がメイン) | 多い(IP-PBXやクラウドPBXではパソコンやスマホも接続可) |
信頼性 | 高い | 極めて高い(二重化による対策可) |
PBXの機能をクラウド上で提供する「クラウドPBX」というサービスもあります。
クラウドPBXとは?メリット・デメリットや選び方を徹底解説!
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専用電話機
ビジネスフォンでは、専用の「多機能電話機」が多く利用されています。
多機能電話機には、家庭用電話機と比べてボタンがたくさん付いているのが特徴です。これらのボタンには、よく使う外線番号や内線番号を割り当てたり、機能を登録したりできます。
また、保留・転送やリダイヤル、発着信履歴表示などビジネスで利用する機能が使いやすいように配置されています。
配線タイプ
ビジネスフォンの主装置と専用電話機の配線方法は、
- スター配線
- バス配線
- LAN配線
の3種類があります。
それぞれの特徴は次のとおりです。
スター型 | バス型 | LAN配線 | |
配線方法 | 主装置から電話機に1本ずつ直接配線 | 1本のケーブルから分岐させて電話機へ配線 | HUBを介して電話機へ配線 |
アナログ回線 | 可 | 可 | 不可(IP電話のみ) |
ケーブル | モジュラーケーブル(電話配線) | モジュラーケーブル(電話配線) | LANケーブル |
メリット | ・故障による相互影響なし ・故障箇所が特定しやすい |
・配線がすっきりする | ・インターネット回線を一元管理できる |
デメリット | ・ケーブル数が多くなる | ・配線の問題がすべての電話機に影響 ・故障箇所が特定しにくい |
・電力供給のための給電HUBや給電アダプタが必要 |
コードタイプ
ビジネスフォンの専用電話機は、従来型のコードがある「多機能電話機」と、コードがない「コードレス電話機」に分けられます。
コードレス電話機は座席にとらわれず、移動しながら電話できる点がメリットです。
コードレス電話機は3種類に分けられます。
- デジタルコードレス
- アナログコードレス
- カールコードレス
それぞれのの特徴は次のとおりです。
デジタルコードレス | アナログコードレス | カールコードレス | |
形態 | PHSタイプ | PHSタイプ | 多機能電話機の受話器が持ち歩けるタイプ |
ボタン数 | 少ない | 少ない | 多い(親機は多機能電話と同等) |
利用範囲 | 広い(複数アンテナの切替可) | 広い(半径100m程度) | 狭い(半径10m程度) |
利用シーン | 広い敷地やフロアを移動しての利用 | 小規模なオフィスや店舗での利用 | 室内で座席を離れての利用 |
まとめ
紹介したビジネスフォンの仕組みをまとめると、次のとおりです。
- ビジネスフォンは、「主装置」と「専用電話機」で構成される
- 主装置はユニットを組み合わせて機能や規模をカスタマイズ可能
- 回線数やオフィス規模に応じて、主装置のクラスや配線タイプを選択する
- 電話機は、用途に応じて多機能電話機やコードレスタイプから選択する
ビジネスフォンの導入を検討の際は、これらの仕組みを理解して、自社に適した製品を選びましょう。
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