法人携帯を経費計上する方法まとめ|通信費や端末代など
2022.09.11
現代では業種を問わず、ケータイ・スマホはビジネスに欠かせないツールとなっています。
会社や個人事業主が業務に用いる法人携帯にかかる費用は、経費として計上が可能です。
本記事では、「携帯に関わる費用を経費計上する方法が知りたい」とお悩みの方に向けて、
- 携帯に関わる費用の経費計上方法
- 法人契約のメリットと注意点
を詳しく解説します。
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目次
携帯に関わる費用を経費計上する方法
業務で利用するケータイ・スマホにかかる月々の通信費や、端末購入代金などの費用は、会社の経費として計上することが可能です。
法人携帯の利用にかかる費用は、主に次の3つに分けられます。
- 通信費
- 端末代
- その他の費用
それぞれ、実際の仕訳例を挙げながら、経費計上方法を解説します。
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通信費
まずは、「通信費」の経費計上方法を見てみましょう。
通信費とは、通話料やデータ通信料などの毎月かかる費用のことです。勘定科目は、一般に「通信費」に仕訳します。
ケータイ・スマホを業務専用に法人契約している場合と、個人事業主がプライベートと兼用している場合では仕訳方法が異なるため、それぞれ解説します。
法人の場合
ケータイ・スマホを法人契約して社員に配布している場合、業務専用で利用していると考えられますので、全額を経費計上可能です。
例えば、2万円の通信費を口座振替で支払った場合には、次のように仕訳します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
通信費 | 20,000円 | 普通預金 | 20,000円 | ◯月分 スマホ利用料 |
個人事業主の場合
個人事業主が業務でケータイ・スマホを使用する場合、以下の2通りがあります。
事業用とプライベート用で、
- 別々のケータイ・スマホを使い分けている
- 1つのケータイ・スマホを兼用している
使い分けている場合には、事業用のケータイ・スマホでかかった費用を、前に述べた「法人の場合」と同様に全額経費計上できます。
一方、兼用している場合には、通信費を「事業で利用した分」と「プライベートで利用した分」に分ける「家事按分(かじあんぶん)」が必要です。家事按分することにより、通信費のうち、事業で利用した分のみを経費計上できます。
「家事按分」の割合の決め方
家事按分の割合を厳密に求めることが難しい場合には、合理性のある割合を決めて適用します。
例えば、1日のスマホ利用時間のうち、おおよそ半分を取引先とのやり取りや調べものなどの業務に使っている、という場合には、割合を50%として良いかもしれません。
「何%が正解」というものではなく、税務署から確認があったときに、合理的な根拠に基づいた割合であることを説明できることが大切です。
「家事按分」の仕訳
ここで、家事按分する場合の仕訳を見てみます。
例えば、事業用30%:プライベート用70%の割合で、5千円の通信費を事業用口座から支払ったときの仕訳は次のとおりです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
通信費 | 1,500円 | 普通預金 | 5,000円 | ◯月分 スマホ利用料 (事業用30%) |
事業主貸 | 3,500円 |
「事業主貸」とは、プライベートの支払いを事業用の口座で立て替えた場合に用いる勘定科目です。
上記と同じケースで、通信費をプライベートの口座で支払ったときには、「事業主借」の勘定科目で、次のように仕訳します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
通信費 | 1,500円 | 事業主借 | 1,500円 | ◯月分 スマホ利用料 (事業用) |
「事業主借」は、事業用の支払いをプライベートの口座で立て替えた場合の勘定科目です。
法人契約は個人事業主でも可能
個人事業主の多くは個人契約のケータイ・スマホを事業とプライベートで兼用し、家事按分して経費計上しているでしょう。
個人事業主は法人ではないため、本来、法人契約はできません。
しかし、auやソフトバンク、一部の格安SIMでは、個人事業主でも審査で認められれば「みなし法人」として、1台からでも法人契約できる場合があります。
法人契約には経費計上の負担軽減のほかにも、法人専用割引などのメリットもあります。
法人契約の必要書類については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
法人携帯の新規契約・MNPに必要な書類まとめ|大手キャリアから格安SIMまで
端末代
続いて、ケータイ・スマホの本体を購入したときの「端末代」の経費計上方法です。
端末代の支払い方法には「一括払い」と「分割払い」があり、仕訳も異なります。
なお、購入した端末をプライベートと兼用する場合には、通信費と同様に家事按分が必要です。
一括払い、分割払いの経費計上方法をそれぞれ解説します。
一括払いの場合
まずは、一括払いの場合の経費計上の方法を見てみましょう。
ケータイ・スマホの端末代は、1台あたりの購入金額によって次のとおり仕訳が異なります。
- 10万円未満:「消耗品費」として費用計上
- 10万円以上:「工具器具備品」として資産計上し、減価償却
それぞれ解説します。
1台あたり10万円未満の場合
端末1台あたりの購入金額が10万円未満の場合は、勘定科目「消耗品費」に仕訳し、購入した年の費用として処理可能です。
6万円の端末を現金で一括払いで購入した場合の仕訳は次のように記載します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
消耗品費 | 60,000円 | 現金 | 60,000円 | スマホ代(一括払い) |
複数台購入して合計が10万円以上になった場合でも、1台あたりの購入金額が10万円未満の端末については消耗品費で計上可能です。
あとから確認しやすいように、摘要欄に「スマホ○台分」のように記載しておくといいでしょう。
1台あたり10万円以上の場合
一方、端末1台あたりの購入金額が10万円以上の場合は、勘定科目「工具器具備品」に仕訳し、資産として減価償却が必要となります。
減価償却とは、資産の取得費用を「耐用年数」に応じた期間で分割し、毎年、費用に計上していく方法です。「耐用年数」は物品によって決められており、ケータイ・スマホは一般に、電子計算機(携帯用パソコン)と同じ4年間で償却します。
近年は高額なハイエンドスマホも増えているため、10万円以上の端末を購入する機会も多いでしょう。
15万円の端末を現金で一括払いで購入した場合、購入時に以下のように仕訳します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
工具器具備品 | 150,000円 | 現金 | 150,000円 | スマホ代(一括払い) |
そして決算時になったら、端末代15万円を耐用年数である4年で割った金額を、以下のように減価償却費として計上していきます。15万円を4年間かけて償却していくということです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
減価償却費 | 37,500円 | 工具器具備品 | 37,500円 | スマホ代 減価償却 ◯/4回目 |
一定額未満の場合は特例も
少額の資産については、通常の耐用年数よりも短い期間で償却できる特例があります。
20万円未満の場合には、「一括償却資産」として3年間で償却することが可能です。
また、中小企業の場合には、30万円未満の減価償却資産を、年間300万円を上限として購入年に全額費用計上(即時償却)できます。この特例は令和4年度購入分までの時限措置でしたが、2年間延長され令和6年度購入分までとなりました。
参照:中小企業庁「少額減価償却資産の特例」
償却期間を短縮できれば、一年あたりの経費効果を高めるとともに、減価償却に伴う会計処理の手間も削減できますので、ぜひご活用ください。
分割払いの場合
続いて、ケータイ・スマホの本体を分割払いで購入した場合の経費計上方法です。
分割払いの場合には、購入時に「未払金」として計上し、毎月取り崩していきます。
6万円の端末を24回の分割支払いで購入した場合、購入時の仕訳は次のとおりです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
消耗品費 | 60,000円 | 未払金 | 60,000円 | スマホ代(分割払い) |
その後、毎月の支払いを口座振替で行った際には、次のように未払金を24分の1ずつ取り崩していきます。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
未払金 | 2,500円 | 普通預金 | 2,500円 | スマホ代(分割払い) 取り崩し ◯/24回目 |
端末代が10万円以上の場合には、一括払いと同じように「工具器具備品」として資産計上し、減価償却も必要です。
なお、10万円以上の端末を分割払いで購入する場合、一般に通信会社による審査が厳しくなりますのでご注意ください。詳しくは以下の記事で解説しています。
法人携帯を契約する際の審査を解説|審査に通らない原因と対策も
レンタルなら会計処理が楽
ここまで見てきたとおり、高額な端末を分割払いで購入すると、減価償却や取り崩しなど、経理処理に手間がかかります。
法人スマホレンタルを利用すると、端末を資産計上する必要がなく、賃貸料として費用計上でき、会計処理の手間が削減できます。
月々のレンタル料が千円の場合の仕訳は次のとおりです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
賃貸料 | 1,000円 | 普通預金 | 1,000円 | ◯月分 スマホレンタル |
中古スマホのレンタルを活用すれば、購入するよりもトータルコストを抑えられる場合もありますので、以下の記事を参考にご検討ください。
法人スマホはレンタルと購入どちらがお得?レンタルサービスまとめ
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その他の費用
法人携帯の利用にかかる費用の3つ目は、通信費や端末代以外の「その他費用」です。
ケータイ・スマホを利用していく上では、スマホケースや保護フィルムなどのアクセサリーを購入したり、故障時に有償で修理に出したり、といった費用がかかることもあるでしょう。
アクセサリーや修理にかかった費用も、業務上必要なものであれば、経費計上できます。
- アクセサリー代:消耗品費
- 修理代:修繕費(または通信費、消耗品費)
3千円のスマホケースを現金で購入した場合の仕訳は次のとおりです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
消耗品費 | 3,000円 | 現金 | 3,000円 | スマホケース |
スマホを修理に出して、2万円の修理代を現金で支払った場合は次のように仕訳します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
修繕費 | 20,000円 | 現金 | 20,000円 | スマホ修理代 |
なお、アクセサリーや修理した端末をプライベートと兼用している場合には、通信費や端末代と同様に家事按分が必要です。
法人契約のメリット
ケータイ・スマホの法人契約には、経理作業の簡略化だけでなく、次のような多くのメリットがあります。
- 通信に関わるコストの削減
- 業務の効率化
- セキュリティの強化
法人向けプランの中には、社員間通話無料や法人専用割引などのサービスを受けられるものがあります。
また、スマホでコミュニケーションツールやマネジメントツールを活用すれば、業務効率化が期待できます。
さらに、スマホ向けの管理ツール・サービスを利用すれば、個人携帯を業務利用する場合と比べてセキュリティ強化も可能です。
以上を含めた、法人携帯導入のメリットについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
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法人契約の注意点
最後に、法人契約の注意点を2点紹介します。
- 支払いは法人口座・カードから
- 毎月の利用明細を保管しておく
法人携帯の月々の支払いを口座振替やクレジットカード払いで行う場合には、法人名義の口座やカードで行いましょう。プライベートの明細と混在していると、会計処理が複雑になり、計上ミスの原因となってしまいます。
また、法人携帯に関する支払いを証明するため、通信会社から発行される毎月の利用明細は保管しておきましょう。大手キャリアでは、Webサイトで利用明細の確認・印刷や、「支払証明書」の発行が可能です。
各社の「支払証明書」の発行に関する案内ページと手数料は、以下をご参照ください。
案内ページ | 発行手数料 | |
ドコモ | 支払証明書/ご利用料金証明書の発行 | お客様サポート | 440円(税込)/1通 |
au | 【au/UQ mobile】確定申告に必要な「支払証明書」は発行できますか?| よくあるご質問 | 440円(税込)/1通 |
ソフトバンク | 「支払証明書」の入手方法を教えてください。 | よくあるご質問(FAQ) | 440円(税込)/1通 |
法人スマホ・タブレットをお得に導入する方法
「中古端末」や「レンタルサービス」を活用すれば、法人スマホ・タブレットの導入・リプレイスにかかる費用を大幅に削減できます。
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取扱機種(一例) |
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