【2025年】自営PHSの後継規格「sXGP」とは?|ローカル5Gとの違いや活用例も
2025.06.12
sXGPは、自社で専用の通信ネットワークを構築・運営できる規格の一つです。
免許取得が不要で比較的導入しやすいため、自営PHSの後継システムとして注目されています。
本記事では、sXGPについて詳しく知りたい方に向けて、
- sXGPが注目されている理由
- sXGPのメリット・デメリット
- 類似サービスとの違い
- sXGPの活用例
などを解説していきます。
公衆PHSサービス終了の影響と代替手段
| 回線の種類 | 利用できる期間 | |
|---|---|---|
| 公衆PHS | 2021年1月31日に終了*1 | |
| 自営PHS (構内PHS) |
旧スプリアス規格 | 2022年11月30日まで →当分の間に変更 |
| 新スプリアス規格 | 未定 | |
*1 テレメタリングサービスも2023年3月31日に終了
(参考:PHSサービス終了のご案内|サポート情報|ワイモバイル(Y!mobile)法人)
PHSサービスのうち公衆PHSは、2021年1月末をもって終了しました。
医療機関を中心に利用されてきた自営PHSは、明確な利用期限が設けられておらず、「医療機関における電波利用推進委員会 2023年度活動報告」によると、2022年度時点で8割以上の病院で、引き続き利用されています。
ただし自営PHSのうち「旧スプリアス規格」はいずれ利用できなくなる見込みです。
またPHS市場の縮小に伴って端末や関連機器の維持管理が困難になっていくことが予想されるため、早めに乗り換え先を検討しておくといいでしょう。
スマートフォンを活用した代替手段
現在では端末や医療機器の性能向上もあり、安全を確保しつつ、スマートフォンを含む携帯電話の活用が推進されています。
医療機関でスマホを導入する方法|メリットや普及率、導入事例など
スマートフォンを活用した自営PHSの代替手段としては、今回紹介するsXGPのほかにも、FMCやクラウドPBXなどがあります。
法人PHSはいつまで使える?注意点や代替手段も紹介
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自営PHSの後継規格として期待される「sXGP」とは
sXGP(shared Xtended Global Platform)とは、企業などが自前で高速・大容量のワイヤレス通信ネットワークを構築・運営できる通信規格です。
sXGPは、4G通信で利用されているLTEの技術を基盤としており、プライベートLTEとも呼ばれます。携帯電話やスマートフォンなど、ワイヤレス通信を利用するさまざまなデバイスに対応でき、多様な用途に活用できる点が特徴です。
sXGPでは、デバイスがアクセスする基地局と外部のネットワークとを接続するコアネットワーク装置(EPC)を社内LANに設置します。EPCはオンプレミスのほか、クラウド上にも構築できるため、柔軟なネットワークの管理・運用が可能です。
こうした特徴を持つsXGPは、自営PHSの後継規格ともいわれており、一部の企業で移行が始まっています。
sXGPのメリット・デメリット
sXGPのおもなメリット・デメリットを見ていきましょう。
sXGPのメリット
sXGPのメリットは大きく分けて3つあります。
- スマートフォンが利用できる
- 少ない基地局で安定した通信ができる
- 免許不要で利用できる
スマートフォンが利用できる
sXGPでは、端末として日常業務で利用しているスマートフォンを利用できます。
スマートフォン向けの豊富な業務アプリもそのまま利用できるため、PHSと比べて活用の幅が広がります。
また、sXGPはSIMカードを利用して接続するため、SIM認証(認証されたSIMカードを持つ利用者だけが通信可能)が利用可能です。
不正なデバイスや不審な通信の侵入を防ぎ、高いセキュリティを実現できます。
デュアルSIM対応のスマートフォンを利用すれば、キャリア回線とsXGPの併用が可能です。
1台の端末を社内外で使い分けでき、導入コストやデバイスの管理負荷を軽減できます。
少ない基地局で安定した通信ができる
sXGPでは、PHSと同じ1.9GHz帯の周波数(Band39)を利用します。
Wi-Fiで利用されている2.4GHz帯や5GHz帯と比べて広いエリア(100m前後)をカバーできるほか、電波干渉が少なくハンドオーバー(移動中の接続先切り替え)にも強いため、少ない基地局で安定した通信が可能です。
インフラ設備の構築コストを削減でき、導入後のメンテナンス費用や負荷も軽減できます。
また自社内にネットワークを構築できるため、災害時の輻輳や通信障害など、公衆回線が利用できない場合でも安定して通信できます。
免許不要で利用できる
sXGPのネットワーク構築には、無線局の免許取得が不要なのも大きな魅力の一つです。
通常、独自のワイヤレス通信ネットワークを構築する際には、規制に従ってワイヤレス通信に関する免許を取得する必要があります。
sXGPで使用する1.9GHz帯は免許が不要なため、比較的手軽にネットワークを構築可能です。
使用する通信装置は技術基準適合証明(技適)を取得している必要があります。
sXGPのデメリット
以上のように、sXGPには多くのメリットがありますが、コストの面では、いくつかのデメリットも存在します。
具体的には、専用の通信装置の購入や設置、ネットワーク設計などに一定の投資が必要となります。
また、sXGPは比較的新しい技術であるため、PHSやWi-Fiなどの既存技術と比べて導入や運用に関するノウハウを持たないケースが多いでしょう。
社内の人員が知識を習得するための時間・人件費や、外部の専門業者に委託するための費用がかかります。
sXGPを導入する際は、メリットだけでなく上記のようなコスト負担も考慮することが重要です。
sXGPと「ローカル5G」、「自営BWA」との違い
sXGPと同じく、自前のワイヤレス通信ネットワークを構築する通信技術に「ローカル5G」や「自営BWA」があります。
sXGPとそれぞれの技術の違いを見てみましょう。
- ローカル5Gとの違い
- 自営BWAとの違い
sXGPとローカル5Gとの違い
sXGPとローカル5Gはともに自前のネットワークを構築する技術ですが、通信方法に大きな違いがあります。
sXGPが4G通信でも使われているLTEの技術を基盤としているのに対し、ローカル5Gは最新の5G通信を用います。
ローカル5Gでは、sXGPに比べて高速大容量かつ低遅延の通信が可能です。
大量のデバイス間で通信するIoTや、大容量データをリアルタイムに伝送する要件のあるビジネスに適しています。
ただし、5Gでも現在公衆回線で主流の「NSA(非スタンドアローン)方式」では、高速大容量・低遅延が十分に享受できません。
5Gには「SA(スタンドアローン)方式」と「NSA(非スタンドアローン)方式」があります。完全な5Gネットワークを導入するSA方式に対して、4G/LTEのネットワークを基盤に5Gを追加するNSA方式は、通信速度に制約があるためです。
また、ローカル5Gを構築・運営するには無線局の免許取得が必要です。
| sXGP | ローカル5G | |
|---|---|---|
| 通信方式 | 4G | 5G |
| 免許 | 不要 | 必要 |
ローカル5Gとプライベート5Gの違い
ローカル5Gとよく似た用語にプライベート5Gがあります。
どちらも、企業などが専用の5Gネットワークを利用するための技術ですが、構築・運用の方式が異なります。
前述のとおり、ローカル5GはsXGPと同じく、企業などが自社で5Gネットワークを構築し運営する形態です。
一方、プライベート5Gは、キャリアが提供する5Gネットワークを仮想的に分割して、企業などが専用で利用するサービスを指します。
プライベート5Gは無線局の免許取得が不要で、ネットワーク構築・運営の負担やコストがかからない点がメリットです。
反面、キャリアで通信障害が発生した場合には影響を受ける可能性があります。
sXGPと自営BWAとの違い
sXGPと同じプライベートLTEの方式に、自営BWA(Broadband Wireless Access)があります。
自営BWAは1台の基地局で半径2km前後の範囲をカバーできます。また、2.5GHz帯の周波数を専有して利用するため、安定した通信が可能です。
自営BWAは、広い敷地を持つ工場や農場などでの利用に適していると言えるでしょう。
なお、自営BWAの構築・運営には無線局の免許取得が必要です。
また自営BWAは、同じく2.5GHz帯を利用した地域BWAのエリア内では利用できません。
| sXGP | 自営BWA | |
|---|---|---|
| 周波数帯 | 1.9GHz | 2.5GHz |
| 通信速度 | 10Mbps台 | 100Mbps台 |
| 通信範囲 | 半径100m前後 | 半径2km前後 |
| 免許 | 不要 | 必要 |
| 地域BWAエリア内での利用 | 可 | 不可 |
sXGPの対応機種
sXGPが利用できる端末の一例として、法人向けにsXGPサービスを展開するソフトバンク(旧BBバックボーン)の公式ページに記載されている対応デバイス(2025年6月現在)を見てみましょう。
| iPhone |
|
|---|---|
| iPad |
|
| Androidスマホ |
|
| 4Gケータイ |
|
サービスによっては、上記以外の機種も利用できる場合があります。
シャープやFCNT、京セラの公式ページでは、製品仕様にsXGPの対応状況が記載されています。
sXGPの活用例
ここまで解説してきたsXGPは、実際にどのようなビジネスシーンで活用されているのでしょうか。
sXGPの活用が進んでいる3つの業種について、おもな活用方法を見ていきましょう。
- 医療機関
- 製造業
- 娯楽施設
医療機関
従来、医療機関における通信インフラは自営PHSが担っていました。現在では、その後継としてsXGPの導入が進んでいます。
sXGPは、優れた通信品質と堅牢なセキュリティで、患者の情報や電子カルテなどの安全な通信を実現できます。
また、sXGPを活用した医療機器のIoT化による情報のリアルタイム管理が可能になるため、より精緻でタイムリーな医療サービスの提供も可能です。
製造業
製造業では、自動化や無人化が進展するにつれ、高品質で安定した通信が不可欠となっています。そこで活躍するのが、優れた通信品質を実現するsXGPです。
たとえば、sXGPでは社内の通信ネットワークを自由にレイアウトできるため、機械設備の配置変更に柔軟に対応可能です。
sXGPの導入はセキュリティ面でもメリットがあり、内部通信を厳重に保護することで機密情報の漏洩リスクを最小限に抑えられます。
このように、sXGPは生産効率やセキュリティを強化し、製造現場の更なる進化を支えています。
娯楽施設
娯楽施設では、特にイベント時などに大勢の人が集まり、公衆回線が混雑することがあります。
一方、専用の通信ネットワークであるsXGPなら、混雑による通信品質の低下を回避することが可能です。
sXGPの活用により、混雑時でも高品質な映像配信や、リアルタイムでのスムーズな双方向通信が実現できます。
たとえば、ライブ配信や、VR/ARを活用したアトラクション、電子チケットシステムなどの利用体験の向上が期待できるでしょう。
このように、sXGPは娯楽施設の来場者に高品質なサービスを提供する強力なネットワーク基盤として活用が進んでいます。
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| 販売 | 17,000円〜 | 9,800円〜 | |
| レンタル*1 | 1年 | 1,300円/月 | 700円/月 |
| 2年 | 900円/月 | 550円/月 | |
| 3年 | 700円/月 | 500円/月 | |
*1 1年未満の短期レンタルも可能
まとめ
医療機関で多く利用されてきた自営PHSは、公衆PHSサービス終了後も利用できますが、端末や関連機器の維持管理が困難になっていくことが予想されるため、sXGPなど乗り換え先を検討しておくといいでしょう。
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